欧州からやってきたエリートインターン学生に手を焼いた話


今年の1月からつい先日までの半年間、ヨーロッパの某国からやってきたインターンの面倒を見ていました。

彼は母国ではトップレベルの大学に通っているらしい修士課程の学生です。

私が働いているようなバイオ系の研究室では、「ボランティアをさせてくれ」とか「インターンをさせてくれ」と言ってくる学生が頻繁にいるんですね。

彼もそんな学生のうちのひとりでした。

トップレベルの大学からのインターンということで、正直来る前はかなり期待していたんですけど、彼と一緒に働いてみるといろいろと衝撃的だったので思い出日記の代わりに記事にしました。

まあ簡単に言うと愚痴です。

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ヨーロッパ人なのに英語が怪しい

私は2008年からアメリカで暮らしていますが、こちらで出会うヨーロッパ出身の方は非ネイティブでも英語がとても流暢な人が多いです。

ヨーロッパは陸続きで小さな国がたくさん集まっていて、特にEU圏内は人の移動が自由なので共通語としての英語を使えこなせる人が多いのでしょう。

ところがこのインターン学生の英語は、最初はアメリカでこれから半年暮らしていけるのか?と心配になるレベルでした。

私の英語も決して上手いとは言えませんが、そんな日本人の私から目から見ても彼の英語は酷かった。

メールなどの書き言葉は非常に洗練された文章を書きますが、話すのが苦手。

聞き取りも怪しいので、コミュニケーションを取るときに頻繁にお互いが「???」状態に。

これまでヨーロッパの人は英語が上手いという印象があったので、これがまず衝撃的でした。

まあ「ヨーロッパ人は英語が上手い」なんて、「大阪人は面白い」とか「九州人は酒が強い」くらいにこっちの勝手な思い込みなので、そりゃヨーロッパにも英語が不得意な人もいるよと言われればそれまでですが。

理系なのに簡単な計算が出来ない

バイオ系の研究室では5倍濃縮とか、10倍濃縮された試薬を使うときに水で薄めてから使うという場面が結構あります。

例えば10倍濃度の試薬Aを水で薄めて100ml作りたい場合、試薬Aを10mlを水で薄めて、全量を100mlにするわけです。

そうすると試薬Aはもとの濃度の10分の1になっていますよね。

このように、バイオ系の実験室では濃縮された試薬は適宜薄めて使います。

ところが彼は、10倍濃縮、5倍濃縮というコンセプトをよく理解していないのです。

ある日彼に、10倍濃縮の試薬Bを薄めて全量4ml作ってくれと指示を出しました。

当然試薬Bを400μl(0.4ml)使って水で薄めて全量を4mlにするのが正解です。

彼がどうするか、ちょっと観察していると、試薬Bを80μl(0.08ml)取り出しました。

ん?と思って、

私「80μlじゃ10倍にならないと思うけど」

と注意すると

彼「え?80μlを4mlにすれば10倍だと思うけど。」

と反論してきます。

私「いや、4mlは4000μlだよ。4000÷10をもう一回よく計算してみればわかるよ。」

と言うと、明らかにイラついたような態度になって、

彼「わかった、わかった。最初から作り直すから!!」

と顔を真っ赤にして怒り出し、いま取った80μlの試薬を捨てようとしました。

いやいやいやいや。

何をブチ切れとるんだと。

っていうか、80μl取ったんだったら、あと320μl追加で足せば全量400μlになって、それを4mlにすればいいじゃん。

私「最初から作り直さなくても、あと少し試薬Bを足せばいいんだよ。」

彼「え?言っている意味が分かんないんだけど。混乱させるのはやめてくれ!俺は全部最初からやる!」

と、結局いまとった試薬をすべて片付けてブチ切れながら最初からやり直し始めたのです。

これにはこっちもカチンときましたね。

こんなことが何回か続くので、最終的には10倍濃度の試薬で〇〇ml作ってくれという指示の仕方は止めました。

10倍とか5倍とか言うと混乱するので、試薬Bをとにかく400μlとって、水で薄めて最終的に4mlにしてくれという指示の出し方にしました。

これなら何倍希釈とか考えずにできるでしょ?

またあるデータ解析で、正方形の面積の計算が必要になる場面がありました。

正方形の面積の計算なんて小学生のレベルです。

ところが彼は、1辺が10㎝の正方形の面積を10平方センチメートルとして計算しました。

正解はもちろん、10×10で100平方センチメートルです。

最初は単なるケアレスミスだと思ったんで、

私「1辺10㎝の正方形の面積が10平方センチメートルになってたよ。」

と指摘しました。すると、

彼「え?1辺10㎝だったら10でしょ。だって1辺1㎝だったら1平方センチメートルじゃん。」

という予想の斜め上いく回答。

えーと、その理論が正しいとすると、1辺が10㎝と1㎝の細長い長方形と1辺10㎝の正方形は面積が同じということになるのでは...?

これを指摘するとたぶんブチ切れるので言いませんでしたけど。

とまあこんな感じで理系の修士学生(しかもトップレベルの大学)なのに超基本的な小学生レベルの計算ができないことが結構あって、衝撃的でした。

間違いを指摘されるのが超絶嫌い

彼はどうやら人から間違いを指摘されるのが超嫌いらしく、この性格がこちらの神経を逆なでします。

簡単な計算でもなんでも、別に間違いをするのはいいんです。(いやほんとはあまりよくないけど)

でもこっちとしてはミスしたら二度と同じ間違いをしてほしくないから、なんで間違いなのか?次はどうすればいいのか?を説明しますよね。

ところがこれをすると、話の途中で

彼「Ok,Ok,Ok,Ok,I know, I know!」

を連発するんですねー。ニュアンスとしては

「わかった、わかった、わかった。知ってるから!!」

という感じ。こっちが丁寧に説明してるのに、話の途中でこれを言われるとカチンときます。

さらに口癖なのか何なのか、話の相槌として

彼「I know、Of course! I know、Of course!」

も連発。どういう意味で発言していたかはわかりませんが、これが

「知ってるよ、当たり前じゃん!」

という風に聞こえるんです。またこれにカチンときます。

当たり前なのになんで出来てねえんだよこの野郎!と思ってしまうワケです。

結局私の話をよく聞いていないので、同じようなミスを繰り返し、そのたびにこのやり取り。

トップの大学に通ってるからプライドが高いのか、もともとそういう性格なのか、とにかく彼は人に間違いを指摘されたり、説明を受けてたりするのがものすごく嫌いみたいでした。

でもそれを態度に出すのは、大人としてどうなのか。

最後のほうは私が気を使って、

「いい?別に責めてるんじゃないよ?一般論として聞いてくれる?あ、責めてるんじゃないからね?説明するよ?」

と言ってから話し始めるようにしてました。

そして3歳の息子に諭すように、優しく話しかけます。それでも相手は不満そうな顔してましたけど。


人を使うのは難しい


愚痴ばっかっり書きましたが、彼にもいいところはあったんです。

一度作業を覚えると、あとは黙々とこなしてくれるので彼がいた半年間で私のプロジェクトが結構進みました。

でももう半年間面倒を見ろと言われれば、ちょっと考えてしまいます。

基本的にアメリカのバイオ系研究室ではひとりでプロジェクトを回すので、失敗も成功も自分次第みたいなところがあります。

普通の会社のように、部下がいたり、上司がいたり、先輩がいたり後輩がいたりしないので人間関係もそこまで複雑にならず、働くペースも自分でコントロールできるので、気楽な商売です。

ところがたまにこういったインターンとかボランティアの学生がやってきて、自分の下に付くことがあります。

うまくハマれば自分のプロジェクトが進んで助かりますが、ほとんど研究の経験がないような学生の指導をするのは結構大変。英語だし。

なかにはとんでもなく優秀な学生もいたりするんですが、基本的に私からは誰を取るのか選べません。

というのも、そういった学生は研究室を主宰する私のボスに直接コンタクトを取る→ボスが気に入ったら採用という流れでやってくるため、ある日突然ボスから、「実はインターンをやりたい学生がいるんだけど、面倒見てくれない??」とお願いされるからです。

このあたりは普通の会社と同じですかね?よく上司は部下を選べないと聞きますし。

なかなか人を使うのって難しいなと、アラフォーになって感じている今日この頃です。

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